21世紀の哲学がわかるオススメの入門書3冊

『いま世界の哲学者が考えていること』『現代哲学の最前線』『哲学入門』
目次

いま、この21世紀に、哲学は何を論じているのか?

「現代哲学」あるいは「現代思想」の教科書というと、たいていは、ニーチェフロイトソシュールマルクスあたりから始まり、フッサールハイデガーサルトルウィトゲンシュタイン構造主義と続いて、ポスト構造主義で終わるのが定番だ。

しかし、ポスト構造主義の時代は、デリダの逝去(2004年)とともに完全に過ぎ去っている。

ぼくが、このサイトで付録コンテンツとして公開している「西洋哲学史と倫理学の基礎知識」でも、現代哲学(現代思想)の紹介はポスト構造主義までである。

その後の哲学がどのように展開してきたのかについては情報が少ない。

つまり、21世紀になってから、哲学が何に関心を寄せ、どのように論じられてきたか、特に初学者にとっては圧倒的に情報不足なのである。

しかし、最近になって、21世紀の哲学の動向を初学者向けに紹介する本が刊行されるようになってきた。

そのなかから、ぼくが代表的だと思う入門書を3冊紹介する。

『いま世界の哲学者が考えていること』

著者は、『教養として学んでおきたい哲学』『哲学の名著50冊が1冊でざっと学べる』といった入門書を数多く著わしている哲学者の岡本裕一朗氏である。

その岡本裕一朗氏が、IT革命、バイオテクノロジー、資本主義、宗教の未来、環境問題について、これらの分野にどのようなことが起き、それがどのように議論されている(きた)のか、コンパクトにまとめている。

平易な語り口で、大変わかりやすいのが特徴である。

とりわけ、第1章「世界の哲学者は今、何を考えているのか」は、他の入門書には見られない内容だ。

すなわち、1960年代まではマルクス主義、実存主義、分析哲学という3大潮流に分かれていた哲学に起きた「言語論的転回」、その後、21世紀になって起きた「ポスト言語論的転回」=「自然主義的転回」「メディア・技術論的転回」「実存論的転回」がそれぞれどのような変化を哲学にもたらしたのかが概観されている。

この21世紀の哲学の動向をざっくり知ることができるだけでも、本書『いま世界の哲学者が考えていること』を読む価値は大いにあると思う。

『現代哲学の最前線』

著者は、『ハイデガー哲学入門――『存在と時間』を読む』『マルクス入門講義』など、哲学の解説書を数多く著わしている哲学者・仲正昌樹氏である。

その仲正昌樹氏が、現代哲学でいまもっとも熱く論争されている5つのテーマ――正義論、承認論、自然主義、心の哲学、新しい実在論――を取り上げ、どのような議論が行われている(きた)かをくわしく概観している。

哲学に関するある程度の予備知識がないとむずかしく感じられる記述もあるが、それでも歯が立たないというレベルのむずかしさでは決してなく、わからないところは調べながら読んでいけば、充分に理解可能である。

誰が何と言って、それに誰がどう反論し、それからさらにどう展開していったか……というような議論の変遷を俯瞰的に理解することができるという点で、本書『現代哲学の最前線』はとても有益である。

『哲学入門』

タイトルは凡庸だが、その中身は、他の『哲学入門』と名のつく類書とはまるで異なる。

文中、プラトンデカルトカントヘーゲルといった哲学ビッグネームの名前は、ほぼ出てこない。

そういう意味では、西洋哲学の偉人たちは何と言ってきたか的なことをまとめた入門書では決してない。

その代わり、なじみがない現代の哲学者や科学者の学説がいくつも出てくる。

しかし、そうした哲学者や科学者たちが何と言っているか的なことをまとめた入門書でも決してない。

著者の戸田山和久氏は、『科学哲学の冒険』『「科学的思考」のレッスン』といった著書がある科学哲学者である。

その戸田山和久氏が、現代科学が明らかにしている世界像のなかで哲学が何をどこまで言えるのかということを、著者自身の、ときにユーモアあふれる言葉で哲学したのが、本書『哲学入門』なのだ。

つまり、哲学(の概念)を科学的知見と両立しうる範囲にとどめ、それでも哲学が最終的にめざす「人生の意味」は充分に考えることができるという結論にいたるまでを書きつづっているのである。

現代哲学(者)の思考のプロセスにじかに接することができ、しかも記述が平易で、読んでいてワクワクする気分を味わえる貴重な入門書だと言えよう。

『いま世界の哲学者が考えていること』『現代哲学の最前線』『哲学入門』

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